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【榊淳司 マンション業界の秘密】マンションは「天寿を全う」できるか? 分譲マンション建て替えが増えないワケ (2/2ページ)

 パリには築200年以上のアパートがあり、ローマには古代からの集合住宅がある。どちらにもまだ人が住んでいる。それは石造りだからだ。

 しかし、日本のほぼすべてのマンションは鉄筋コンクリート造である。残念ながら鉄筋コンクリートには寿命がある。各建物の施工精度にもよるが、多くの物件はおそらく100年は持っても200年は無理だろう。

 ということは、あと50年後には人が住めなくなるマンションが70万戸ほど出てくる、ということになる。どうなるのか。

 区分所有法は、建て替えについて割合と詳しく定めているが、老朽化して人が住めなくなった場合については言及していない。

 普通に考えれば、区分所有者全員が同意して、住めなくなった建物を取り壊して更地にした上で売却。その代金から取り壊し費用を差し引いた残りを専有面積割合で配分する、ということになる。

 これが実現すれば、そのマンションは「天寿を全うした」と言える。しかし、そんなことが簡単にできるはずもない。

 日本はそろそろ分譲マンションが老朽化した後の行きつく先について、真剣に考えた方がいい。つまり、マンションの天寿を全うさせるための法律や制度を整えるべきである。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

 【2018年12月28日発行紙面から】

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