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【田村秀男 お金は知っている】日本が「中華経済圏」に属した? 東京タワー染めた紅い“あだ花” (2/2ページ)

 グラフを見よう。中国の外貨準備は世界最大と称しているが、見かけだけである。外国から巨額の借金をしてようやく、ぎりぎり3兆ドル台を維持している。借金しても減り続けている。主因は資本流出で、国内の不動産バブル崩壊や人民元安を嫌った中国の投資家や富裕層が、香港経由で資産を海外に逃避させている。

 習政権は資本規制の強化などで、流出口を懸命になってふさごうとしているが、それでも年間3000億ドル規模のカネが逃げる。昨年後半からは、トランプ米政権の対中強硬策の追い打ちを受けている。期限が3月1日に迫った米中貿易交渉が不調に終われば、人民元売りのパニックが起き、北京当局は暴落を防ぐために外準を大幅に取り崩して元買い支えに躍起となるしかない。

 習政権は、中国国民の日本などでの爆買いについては、これまでのところ、目立った制限措置を取って来なかった。旅行消費まで押さえ込むようなことをすれば、旅行熱が高い市民大衆の支持を失いかねないからだろう。

 海外への旅行や消費はモノやサービスの輸入同様、最終的には人民元売りになるので、当局は外準を取り崩して元を買い上げるしかない。最近では持参したスマホを振りかざせば、ただちに銀座の店などでショッピングの決裁できるので、中国人旅行客は中国国内と同じ感覚で買い物を楽しめる。

 安倍政権としても、日中友好ムードを利用して中国人旅行者に大いに買い物をしてもらう。他方、習政権としては米国牽制(けんせい)のためにも日本を惹(ひ)きつけたい。両者の思惑一致から東京タワーが紅く染まったのだが、あだ花でしかない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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