記事詳細

【田村秀男 お金は知っている】日本を“殺す”消費税増税…与党よ、それでもデフレから脱却できるのか 野党にも説明責任 (1/2ページ)

 畏敬する経済学者、故宇沢弘文さんは『人間の経済』(新潮新書)で、1983年当時の昭和天皇との対話を振り返っている。懸命になって経済理論をしゃべりたてたところ、陛下は話をさえぎられて「君!君は経済、経済というが、つまり人間の心が大事だと、そう言いたいのだね」と。宇沢さんは「お言葉に勇気づけられた」と述懐している。

 選挙戦たけなわの今は、消費税増税をめぐる与野党の連呼が嫌でも耳に入る。与党は「増税によって子育て・教育無償化の財源を捻出する」、野党は「増税凍結と家計第一」と叫ぶのだが、双方とも「人間の心」を踏まえた上でモノを言っているのだろうか。

 宇沢さんに確かめたことはないが、拙論の仮説では、人間の心は経済によって左右される。とりわけ二十数年にも及ぶ慢性デフレ経済の日本では、若者の心、あるいは国家という共同体の最小単位である家族が崩壊していくことは「引きこもり」をみても明らかだ。

 若者の失業率が2ケタにも達するスペインでは「引きこもり」がないと、グラナダ在住のピアニスト、西澤安澄さんから聞いた。スペインではアマゾンに注文しても、配送が大丈夫か心配になり、直接店に出かけて購入する不自由さがあるが、日本のように零細な商店が淘汰(とうた)されることはない。

 やはり高失業率のスコットランドの古い工業都市グラスゴーで4年間住んで帰国したばかりの身内によると、「酔っ払いは多いが、見知らぬもの同士が声をかけ合うぬくもりがある。引きこもりに該当する問題も言葉も聞いたことがない」という。

関連ニュース