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【経済快説】相場暴落時の格言「キャッシュ・イズ・キング」 コロナ問題で危機に瀕する企業の資金繰り (2/2ページ)

 今回の状況によって、企業の資金繰りが危機に瀕している。もともと無理な資金調達を続けてきた低格付けの企業の資金調達が難しくなり、コロナ問題によって売り上げが急減して資金繰りが苦しくなった企業が増え、原油価格の下落は特に米国のシェールオイル業者の採算と資金繰りを悪化させると想定される。

 つまり、企業は支払い義務に応じるための「現金」を必要としていて、これに対応する金融機関も同様の必要性に直面している。いかに強固な安全資産であっても、米国債や金では支払いができない。加えて、国際的な決済の通貨は主に米ドルなので「米ドルの現金」が最も選好される対象となったのだ。

 相場暴落時の格言として「キャッシュ・イズ・キング」という言葉がある。手持ちの投資対象を売って、現金に換えておくことが最も安心という意味だ。おおむね「セリング・クライマックス」と呼ばれる相場の下落のピークで強調される。通常は連鎖的な企業倒産や金融機関の破綻があると困るので、中央銀行が資金を半ば「無限に」と言いつつ供給してこの状態は沈静化に向かう。

 次の局面では利回りがあって安全な国債が買われて、さらにその次の段階では金融機関のバランスシートが傷んでいるので貸し出しが縮小し、景気後退が起こる局面となるのが典型的推移だ。

 今回は、特に米国の長期金利(10年国債利回り)が低下してきたら次の段階に入ったということだ。景気回復までには少々時間がかかるはずだ。(経済評論家・山崎元)

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