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久米宏 『ザ・ベストテン』での黒柳徹子との掛け合い裏話

 テレビが政治を動かし、時代を動かす--そんな番組は、『ニュースステーション』(テレビ朝日系)以降ない。なぜそれほどの影響力を持ち得たのか、今のテレビとは何が違うのか。初の自伝『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』を刊行した久米宏氏が、自身の半生を振り返りながら、「テレビ論」を語った。

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 テレビではなかなかうまくいかず、「番組つぶしの久米」と言われていたんですけど、萩本欽一さんに呼ばれて司会をやった『ぴったしカン・カン』はたまたまうまくいった。

 そうしたら、生放送の歌番組の司会をやらないか? 黒柳徹子さんが君とコンビを組みたいと言っている、と声がかかった。『ザ・ベストテン』です。台本は曲の順番が書いてあるくらいで、リハーサルも適当。あくまでも本番で勝負しました。

 番組が始まって10分経つと早くも(時間が)押している。僕は司会者兼タイムキーパーですから、必死に遅れを取り戻そうとする。1位の曲を入れないわけにはいきませんから。

 ところが、黒柳さんは時間のことは全然気にしない。押しているのがわかっているくせに、わざとゆっくりしゃべるんです。番組を面白くしようと思って(笑)。

 しゃべりたい黒柳さんと話を止めて次に行きたい僕の勝負。見ている人たちはテンポのいい番組だと思ってくれたと思いますが、現場は常に切迫していました。

 テレビもラジオも、放送は生じゃないとつまらない。今、バラエティはほとんど収録でしょう。2時間モノだったら、3時間半ぐらい収録して、ぶつ切りにしちゃうわけです。あれを生でやったら、どれだけスリリングなことか。

 もちろん、生番組は雑で、仕上がってないし、言い間違いや大失言の可能性もある。スイッチャーのミスもあるし、全然関係ない人が映ってしまうこともしばしばある。でも、だからこそ生番組は面白いんです。

 ■聞き手/柳澤健(ノンフィクションライター)

 ※週刊ポスト2018年1月12・19日号

NEWSポストセブン
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