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【中本裕己 エンタなう】グロテスクな純愛でアカデミー賞獲得 映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

 メキシコの鬼才ギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、アカデミー賞作品賞、監督賞など4冠に輝いた映画「シェイプ・オブ・ウォーター」(公開中)は異形の純愛作品だ。“美女と野獣”にも似たファンタジックな世界が、グロテスクでエロチックに描かれる。

 1962年の冷戦下。米政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザ(サリー・ホーキンス)は、ひそかに運ばれた水槽で暴れる不思議な生物を目撃する。それは、アマゾンで“神”と崇められた半魚人のような怪物で、研究目的のため捕獲されたのだった。

 幼少期のトラウマで口がきけないイライザは、“彼”の心と姿に魅了され、気持ちが通じ合うようになる。だがその存在がスパイを介してソ連に漏れると、“彼”の身に危険がさし迫る。

 地味な風貌で独り暮らしのイライザ。平凡な日常の中、バスルームでオナニーをする場面が妙に生々しい。勤め先の研究所は、現世に背を向けたような冷たい世界観でSF的な不気味さが漂う。血しぶきが飛ぶ暴力シーンや、目を覆う惨劇も描かれる。なのに、おとぎ話のような感覚があって、イライザと怪物の勇気ある恋愛が美しく見えてくるのは、デル・トロの映像マジックだろう。

 隣人としてイライザを支える孤老画家(リチャード・ジェンキンス)に訪れるサプライズなど、笑いの要素もあり、飽きさせない。本当にきれいなものと醜いものは何かを教えてくれる作品だ。(中本裕己)

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