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【中本裕己 エンタなう】“伝説の雑誌編集長”の爆発的半生描く 映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」

 伝説のエロ・サブカルチャー雑誌「写真時代」で編集長を務めた末井昭氏の自伝的エッセーを映画化した「素敵なダイナマイトスキャンダル」(公開中)は、タイトル通りぶっ飛んでいる。

 「芸術は爆発だ、といった人がいます。しかし、僕の場合はお母さんが爆発でした」

 柄本佑が巧みな自然体で演じる主人公の放つ言葉が強烈だ。子どもの頃、実母をダイナマイト心中で失った実体験が、マザコンを超越した思慕の念として末井少年につきまとう。当時は不治の病とされた結核で世を儚(はかな)み、若い男と爆死した母・富子。演じる尾野真千子が実に艶めかしい。

 末井少年は18歳で田舎を飛び出し、工場で苦学しながらキャバレーの看板描きに。やがてエロ雑誌の世界で才覚を発揮する。ただのエロではない。カメラマンの荒木経惟(演じるのは、音楽も担当する菊地成孔)らと尖った企画を連発して出版界に爪痕を残す。一方で、わいせつ文書販売容疑で警察の呼び出しをたびたび受け、発禁になってしまう。

 手配師から「いい娘いるよ」とヌードモデルを紹介される純喫茶には紫煙が漂い、異様な活気が昭和の居心地の良さを思い出させる。70年代のアングラカルチャーから、バブル崩壊までの風俗裏面史としても楽しめる。

 妻(前田敦子)や愛人(三浦透子)に母の面影を追い、部数拡大で札束を手にしても、どこか虚無感が漂う主人公。場末で聴くジャズのようだ。(中本裕己)

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