記事詳細

【高須基仁 人たらしの極意】「ピンキラ」パンチョ加賀美さんを偲ぶ… 口ひげがトレードマーク、印象に残るハット姿

 「ピンキーとキラーズ」のドラムス、パンチョ加賀美が74歳で亡くなった。国民的大ヒットとなったデビュー曲「恋の季節」(1968年)は衝撃的だった。全員が英国風の山高帽にステッキ。ボーカルの今陽子のバックを務めるメンバーの中でも、とりわけ親しみやすく口ひげがトレードマークだった。

 あの頃は、ハット姿の伊達男が珍しくなかったが、私は今も愛用している。先日、こんなことがあった。

 東京・帝国ホテルのオールドインペリアルバーで旧い友人と待ち合わせた。ともに頭頂部が不如意だがカツラは断固拒否。一足先にカウンターに座った私は被っていたボルサリーノを脱いで隣の席にそっと置いた。

 30分ほど遅れてきた友はストローハットを被ったままスコッチを口にして話し始めた。しばらくして、友の隣で飲んでいた老紳士が紙ナプキンに「PLEASE TAKE OFF YOUR HAT.」と書いて差し出した。思わず私は友の帽子を預かり、無礼を察した友も、「アイム・ソーリー…」と頭を下げた。

 先週、小欄で八丈島での納骨をお伝えした評論家の西部邁も晩年はハット派だった。自身の番組で帽子を被ったまま手袋で講義することもあったが、「実はこれ病気の影響で、誠に失礼なのだけど」と断りを入れていた。

 何かと批判の的になっている麻生太郎副総理だが、外遊の際には高価なボルサリーノを斜めに被る所作が決まっている。たとえ「アルカポネのようだ」と揶揄されたとしてもハットを楽しんでいるように見える。

 そういえば、パンチョ加賀美は東京芸大の出身。ダンディーなハット姿にはアカデミックな香りも漂っていた。=敬称略(出版プロデューサー)

 ■高須基仁の“百花繚乱”独り言HP=「高須基仁」で検索

zakzakの最新情報を受け取ろう