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【中本裕己 エンタなう】ウディ・アレンの枯れてない笑えるドロドロ愛憎劇 映画「女と男の観覧車」

 82歳になってもちっとも枯れてないし、巨匠然していない作風が素晴らしいウディ・アレン監督・脚本による「女と男の観覧車」(公開中)。

 監督の郷愁が込められた1950年代のNY郊外の遊園地、コニーアイランドが舞台というニクイ設定。妻に先立たれた、良い人だけれど退屈なオヤジ(ジェームズ・ベルーシ=ジョン・ベルーシの弟)と、前夫を自殺に追い込んだ元女優のワケアリ妻(ケイト・ウィンスレット)、2人は傷をなめ合うように再婚し、彼女は悶々と遊園地の食堂で働く。そこに、ビーチでひと夏のアルバイトに来たジャスティン・ティンバーレイク扮するイケメン監視員が登場、ワケアリ妻と恋に落ちてしまう。

 さらには、退屈オヤジが勘当した前妻のセクシー娘が、ギャングの元夫に命を狙われるまま出戻ってきた。セクシー娘は母の不倫相手であるイケメン監視員とイイ仲に。これ以上ない修羅場。ドロドロのメロドラマなんだけど、始終バックに流れるのがドゥ・ワップの草分け、ミルズ・ブラザーズが歌う「コニー・アイランド・ウォッシュボード」で、なんだかワクワクするのだ。

 くすんだ老遊園地を背景に、ジェットコースター状態の女と男の悲劇が喜劇にも見え、何度も笑ってしまった。恋に翻弄され、我を忘れたケイト・ウィンスレット様の手のつけられない「怒り芸」も見どころ。観覧車から見る景色は楽しいけれど、同じところを周り続ける観覧車を毎日眺める側の気持ちは…。ああ、他人事で良かった(他人事なのか?)。(中本裕己)

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