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【高須基仁 人たらしの極意】「変幻自在」イッセー尾形の魅力 (1/2ページ)

 長崎と熊本・天草地方の潜伏キリシタン関連施設が世界遺産として注目されている。そこで先日、映画「沈黙-サイレンス-」(2016年)を改めてDVDで見た。

 半世紀前、私は遠藤周作の原作をむさぼり読んだ。江戸時代初期、キリシタン弾圧の渦中に置かれた村人とポルトガル人神父の苦悩を、「タクシードライバー」などで知られる巨匠マーティン・スコセッシ監督が撮った。映画で思わず私が息をのんだのは、長崎奉行を演じたイッセー尾形の怪演である。

 目には気迫、いつの間にか白髪と顔の年輪が味わい深い六十路半ばになっていた。

 私は、しばしばイッセー尾形の「一人芝居」を贔屓にしてきた。それに、「男はつらいよ」シリーズでは、ひそかに5回も登場した脇役中の脇役でもあることを人知れず楽しんできた。

 主演の渥美清が、なぜイッセー尾形の起用に賛同したか今は聞くことができないが、車掌、警官、旅行社の社員…と、どんな役柄でも“おかしみ”を出す才能を早くから見抜いていたのだ。

 2005年には終戦前後の数日間における昭和天皇を描いたロシア映画「太陽」(アレクサンドル・ソクーロフ監督)に主演。映画は賛否渦巻いたが強烈な印象を残した。昨年は、桃井かおりと「二人の旅路」で豪華共演を果たしている。

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