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【高須基仁 人たらしの極意】吉原老舗オーナーがウオッチ・バーに転身したワケ

 1000人以上が一斉に踊る阿波踊り名物の「総踊り」をめぐって、徳島市を中心とする実行委員会が「中止」を呼びかけ、踊り手団体が「強行」した。こりゃ、江戸時代末期の「ええじゃないか」と同じじゃないかと想った。

 本来、全国に残る盆踊りは市井のものであり、商業化、観光化すると破綻する。「総踊り」のパワーに、今村昌平監督の映画でも描かれた「ええじゃないか」的な反権力を感じた。

 ところで、東京ではオリンピックを目前にして「浄化」の名の下に、市井の風俗“泡踊り”も壊滅の危機にある。江戸時代の遊郭の流れをくむ吉原のソープ街も風前の灯。この街で老舗店「金瓶梅」グループを経営してきた私の盟友、西村寛童社長が衝撃の転身を図った。上野に隠れ家風の店舗「ウオッチ・バー AZITO(アジト)」をオープンしたのだ。

 親父の形見やハイブランドのアンティークなど、さまざまなパーツを組み合わせて、世界に一つだけの時計をカスタマイズする店である。

 53歳の西村社長は、吉原で長らく“女性愛”の究極を生業とする一方、20代半ばでスイスの高級腕時計「ジャガー・ルクルト」に魅せられた。

 「俺を育ててくれた先代がうるさかったんだよ。男は生涯で3つの良い時計を持て、というのが遺言でね。軽く飲みながら時計マニアが集える店にしたいんだ」と西村社長。上野で、新たな商いの時を刻み始めた。吉原から完全引退する時期に合わせ、西村社長の自叙伝出版を密かに計画。名ばかりの“浄化”に抗う西村流の「ええじゃないか」をコツコツと原稿用紙に綴り始めている。(出版プロデューサー)

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