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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「涼」》NY新感覚ショーで涼しむ夏

 「ここから先は話せというまで話してはいけないし、勝手にドアを開いてはいけません」

 白衣姿の女性にこう告げられ、始まった観客参加型の体験ショー。米ニューヨーク・ブルックリンで話題の「Then She Fell」に先日、行ってきた。

 ショーの舞台は、病院の跡地をモチーフにした建物。1回の公演の観客は15人限定で、数人のグループや1人でさまざまな部屋に案内され、「不思議の国のアリス」の作者、ルイス・キャロルと、実在した少女、アリスとの関係性や秘密をひもといていくのだ。

 「不思議の国のアリス」の世界観が随所にちりばめられ、観客は通された部屋で、単に役者のダンスや演技を見守るだけではない。液体を飲むよう渡されたり、メッセージを手紙にしたためるよう言われたり、白いバラを赤く塗ったり、役者と会話したり…。自らも作品の一部となった感覚に陥り、2時間のショーはあっという間に過ぎた。

 観客が作品に参加するショーは「イマーシブ(没頭型)シアター」と呼ばれ、ロンドンが発祥とされる。ニューヨークでもここ数年、複数のショーが登場し、人気を博している。

 マンハッタンにあるホテルの廃虚を舞台にした「Sleep No More」はその代表格で、2011年の開始からロングラン公演となっている。シェークスピアの戯曲「マクベス」のストーリーが軸となり、観客は白い仮面をかぶって参加し、私語は禁止。100部屋ほどある建物内で同時多発的に進むストーリーを、観客は自由に動き回って追いかける。過激なダンスシーンや豪華な衣装も見応えがあり、アート作品としても楽しめるのだ。

 記者はすでに3回リピートした“ファン”。誰がマクベスやマクベス夫人かを見分けるのも大変だし、登場人物の誰について行くかで、作品の理解度は異なってくる。3回目にしてようやく、全体像がつかめたような気になった。

 1回に100人程度の観客が入る「Sleep No More」と比べて、「Then She Fell」は少人数のため、作品により深く没頭することができる。15人の観客の反応をみながら、案内する部屋や台詞を変えているといい、一緒にいった友人とは全く違うストーリーを経験していたことに驚いた。

 作品に答えはないし、分からない部分も多々あった。ただ、アラフォー世代になっても「こんなの初めてだったよね」と思えるショーを体験できて、うれしい。最初はお化け屋敷に入ったようなドキドキ感で夏を涼しむにもオススメだ。ニューヨーク観光にブロードウェーの王道作品はもちろん、新感覚のショーもぜひお試しあれ。(M)

 ニューヨークの街のこと、はやり物など何でも取材中。

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。8月のお題は「涼」です。