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【高須基仁 人たらしの極意】滋味深い映画を見て… 70歳を過ぎ、終着点を感じ取った夏 (1/2ページ)

 猛暑で映画館に足を運ぶ気力すら沸かず、部屋で2本の映画を観た。いずれもタイトルに反して、滋味深い中身だ。

 まずは、76歳になったオーストリアの名匠、ミシャエル・ハネケ監督による「ハッピーエンド」(2017年)。

 フランス北部のブルジョア三世代の愛と死を描く。心に闇を抱えた13歳の孫娘を演じるファンティーヌ・アルドゥアンは、「I☆JAPAN」のロゴ入りTシャツが妙に可愛い。しかし、この女の子が、ラストシーンで見せる姿は衝撃的だ。家業を引退した祖父の車いすを海辺まで押し出し、“入水自殺”に加担する。なんともアンニュイな空気が漂う。

 もう1本は、米国のパオロ・ヴィルズィ監督作品「ロング,ロングバケーション」(2017年)。老夫婦が米大陸をボストンから南へと旅に出る。ドナルド・サザーランド演じる元文学教師はアルツハイマーを病み、ヘレン・ミレンが末期がんの妻役だ。

 共にわれわれ団塊世代が青春映画を通じて親しんだハリウッドの名優だけに、死の有り様が突き刺さった。古いキャンピングカーの最終目的地は、ヘミングウェイの生家がある米最南端のキーウエスト。そこで排ガスを車に引き入れる。

 妻は睡眠薬を夫に与え、自らも飲む。いまわの際に夫は勃起し、最後のセックスをするのだ。

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