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【中本裕己 エンタなう】エンタメ業界の暗部も炙り出し…カルトな魅力 映画「アンダー・ザ・シルバーレイク」

 映画「アンダー・ザ・シルバーレイク」(公開中)のカルト的な面白さをどう伝えるべきか悩ましい。失踪した美女を追う謎解き物語なのだが、伏線がすべて回収されてスッキリ-とはいかない。終演後にパンフレットを求める列に加わった。でも解けない。また観たいという中毒症状が出ているから術中にはまったのだろう。

 舞台は、米ロサンゼルス郊外のハリウッドやドジャー・スタジアムに近い巨大な貯水池周りの住宅地。クセのある“クール”な業界人たちが住んでいる。町ではなぜか不穏な「犬殺し」が横行。職にあぶれたオタク青年サムは暇に飽かして謎を追ううち、隣家に住む愛犬家の美女サラの部屋に招かれる。イイ仲になりかけたところ寸止めで、「明日の午後、また来て」と追い出される。ところが彼女は失踪。取り憑かれたように手がかりを探すサムは、夢破れた者の亡霊や、地下組織の陰謀に翻弄される…。

 部屋のベランダから双眼鏡でサラを覗く場面に、ヒッチコックの「裏窓」の手法が使われるなど、さまざな名作への敬意が散りばめられている。同時に見えない力に操られているエンタメ業界の薄っぺらい暗部も炙り出す。

 異色ホラー「イット・フォローズ」で世界的に注目を集めたデビッド・ロバート・ミッチェル監督は、本作をカンヌ映画祭のコンペ部門に出品。昨年大ヒットした「ラ・ラ・ランド」の悪魔版との評を得た。

 オーケストラの歪んだサウンドやオルタナティブ・ロックの名曲も印象的に使われた怪作だ。 (中本裕己)

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