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【高須基仁 人たらしの極意】「ねむの木学園」に寄り添う「吉行淳之介文学館」

 天皇皇后両陛下は11月27日、私的旅行として静岡県を訪問し、親交がある女優、宮城まり子さんが運営する掛川市の養護施設「ねむの木学園」を見学された。その栄誉に掛川は大いに湧いた。

 ねむの木学園が1968年、静岡県浜岡町(現・御前崎市)で開園した頃、私は中央大全学連の活動で疲労困ぱいして、故郷・掛川にたびたび帰った。

 宮城さんは想いが詰まった学園で、絵やダンスを子供たちに教え、その公演を訪ねた私は心を打たれた。学園は97年、現在の掛川に移転した。私の93歳になる母が入居する施設が近くにあり、帰りがけに、ねむの木学園のこども美術館「どんぐり」に立ち寄ることもある。

 その学園内には、吉行淳之介文学館があることは、あまり知られていない。私は大学時代から蛮勇と破天荒に富む吉行文学に憧れた。とりわけ向島にあった赤線地帯“鳩の街”を舞台にした『原色の街』や『砂の上の植物群』を熟読した。

 日活で映画化された『砂の上の植物群』(64年)では女優、西尾三枝子の真っ赤な口紅が印象的で、その後、私がヘアヌード稼業に没入する際の原点となった。

 なぜに、吉行淳之介文学館が、ねむの木学園に寄り添っているのか。その理由を書くのは野暮だが、ひとことで言えば宮城まり子さんの吉行に対する感謝と愛である。

 吉行が生きていれば今、95歳だろうか。91歳の宮城まり子さんの栄誉を喜んでいるのではないか。(出版プロデューサー)

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