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【高須基仁 人たらしの極意】時の過ぎゆくままに…三億円事件から50年 退廃的な「悪魔のようなあいつ」にシビれた (1/2ページ)

 戦後最大の未解決事件である三億円事件から50年が経った。1968年12月10日、東京都府中市で白バイ警官を装う男が現金輸送車ごと奪った。

 その日、私は警視庁久松警察署の独房にいた。

 中央大全学連武闘派としてベトナム戦争に反対し、徒党を組んで防衛庁正門に丸太60本で突撃した科(とが)だ。留置場にも事件の空気は伝わりざわついていたことをはっきりと覚えている。

 牙を折られ、俗世のサラリーマンとなった私は、三億円事件が未解決のまま時効を迎えた1975年に放送されたドラマ「悪魔のようなあいつ」(TBS系)を食い入るように見ていた。

 元刑事が横浜・山下町で営むバーで働く歌手は、男娼としての裏の顔を持ち、「三億円事件」の犯人だったという設定。その主人公をジュリーこと沢田研二が演じた。原作は阿久悠・上村一夫の漫画で、長谷川和彦が脚本を手がけた。

 ジュリーに加え、脇を固める藤竜也、荒木一郎の3人が醸し出す、退廃の雰囲気に私はシビレた。ビデオなどない時代私は、「帰ります。ジュリーが待っている」と上司に言い残し、呆れられた。三億円犯を追う刑事役の若山富三郎に敵意まで覚えたほど。

 だが、視聴率は低迷し、最終回のテロップでは「時効まであと75日」と1クール(3カ月)を残して終了。最後は、主人公が“脳の病”で錯乱状態になり、三億円を死守しようとライフルを持って立てこもる。警察の銃撃を受けて血まみれになりながらジュリーが不敵な笑みを浮かべるシーンが忘れられない。

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