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【中本裕己 エンタなう】“怪物”よりも人間がコワい! 柴田理恵の怪演は必見 映画「来る」

 「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き。」と人間の持つ腹黒さ、嫉妬、傲慢さなどを描いて出色の中島哲也監督による最新作「来る」(公開中)。これまた、いや~な気分になるホラー映画で、敵対する“怪物”よりも人間側の醜悪さが浮き彫りになる。その突き抜けた描き方に、「やってくれたな」と拍手を送りたくなった。

 香奈(黒木華)との幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)の会社に、「知紗さんの件で」と伝言を残す不気味な来訪者が現れる。受付に姿はなく、取り次いだ後輩がなぜか体を蝕(むしば)まれ入院先で変死する。知紗とは、香奈が身籠もっている娘に名付けたばかりの名前だった。

 以後、秀樹の周囲では怪現象が次々と起こり、身の危険を感じる。知人に、やさぐれたフリーライター(岡田准一)と、霊感を持つキャバ嬢(小松菜奈)を紹介され、見えない“怪物”と対決する。しかし、物語が進むにつれ、本当に恐ろしいのは“怪物”より夫婦間のモラハラや幼児虐待、ネット社会の嘘など人間の所業だと気づかされる。ホラー仕立ての濃密なヒューマンドラマなのだ。

 クライマックスでは、日本全国から八百万(やおよろず)の神に仕える人々が総結集して“除霊祭り”とも言うべき見せ場をつくる。そのうちの霊媒師のひとりをを演じる柴田理恵の怪演が主演級を食うほど格好いい。原作は、日本ホラー大賞を得た澤村伊智の「ぼぎわんが、来る」。こんな映像化も面白い。(中本裕己)

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