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【中本裕己 エンタなう】映画「七つの会議」は現代サラリーマンの「時代劇」「狂言」か

 企業の内幕をえぐったテレビドラマが人気の池井戸潤氏の原作。映画「七つの会議」の集客も好調だ。とにかく暑苦しいくらいにキャストが揃っている。歌舞伎、新劇、小劇場、劇団四季、時代劇、落語、お笑いコンビ、ボクサー、ロック歌手…出自の異なる強いキャラをこれだけ揃えてもスーツを着せると「社畜」役がハマってしまうのは、日本人のDNAがなせるワザなのだろうか。

 大手傘下の東京建電で万年係長の八角民夫(野村萬斎)は、会議で高いびきを咎められるほどの「ぐうたら社員」。営業部長・北川誠(香川照之)が全部員を怒鳴りつけ過酷なノルマを課す中、なぜか八角はブラ勤状態。ところがある日、パワハラ騒動が持ち上がり八角より年下で有能な“花の営業一課長”(片岡愛之助)に異動処分が下る。代わって着任した凡庸な課長(及川光博)とその部下(朝倉あき)が、異動の裏にある会社の闇を突き止める…。

 熱量たっぷりの出演者たちが交通渋滞を起こさぬようソツなく役柄をさばく福澤克雄監督の演出が光る。サラリーマンをサムライに見立てた「時代劇」と見る向きも多いが、地響きする野村萬斎の不敵な笑みは、現代社会の「狂言」とも取れる。

 森繁久彌の「社長シリーズ」や植木等の「ニッポン無責任時代」などサラリーマンもので一時代を築いた東宝にとって、「池井戸シリーズ」が新たな鉱脈になればなお面白い。(中本裕己)

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