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【BOOK】祖父に教えられた「金に振り回されない生き方」 五代目古今亭志ん生の孫・美濃部由紀子さん (1/3ページ)

★美濃部由紀子さん『志ん生が語るクオリティの高い貧乏のススメ 昭和のように生きて心が豊かになる25の習慣』講談社+α新書(840円+税)

 NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で五代目古今亭志ん生をビートたけしが演じ、話題になっている。志ん生といえば、明治に生まれ、自由奔放に大正、昭和と激動の時代を生き抜いた唯一無二の名人。その孫である著者が高座では見せない素顔をひもといた。(文・高山和久 写真・酒巻俊介)

 --志ん生の長男、金原亭馬生の次女で、叔父が古今亭志ん朝といった環境で育たれた。執筆のきっかけは

 「晩年の母と一緒に住んでいた姉夫婦(池波志乃・中尾彬)が断捨離を始め、千葉のアトリエを整理するとき私も手伝いに行くと、『馬生宝物』と書かれた段ボール箱を見つけたのです。父の趣味だった俳句や絵、ネタ帳や資料がびっしり。息子(金原亭小駒)も二ツ目の噺家ですから、何かの役に立つのではないかと持ち帰りました。色が抜けて劣化していましたが、祖父や祖母の若い頃の写真が数多く入っていましたから」

 --まさに宝の山です

 「その写真や資料を保存することができないかと考えたのが始まりです。私から見ても、祖父は芸一筋に生き抜いた傑物だった。で、幼い頃は祖父の家とは隣同士。晩年の祖父の看病もあって、私たちは一緒に暮らしていました。ですから祖父が我を通して家族に迷惑をかけている姿を幾度となく目の当たりにしたのです。当時の私はそれが不安で怖くて…。でもそのことを書いていくうちに自分自身の精神的なマイナス面の棚卸しもできたのではないかと」

 「還暦を過ぎて人生を振り返ってみると、当時の家族それぞれの立場が今になって分かったという感じ。書くことで、祖父は人生の達人だったということを見直すこともできました。志ん生という人間は、究極の個人主義者だったけれど、やりたいことを脇目も振らずやって、真っすぐに生きた人だと再確認できたのです」

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