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【織田哲郎 あれからこれから】音楽の話通じて知り合ったM君…その歌唱力に「心からすごい!」 (1/2ページ)

 私が高知の学校に転校したのは1973年、日本中がフォークブームの頃です。井上陽水『氷の世界』、かぐや姫『神田川』、チューリップ『心の旅』、ガロ『学生街の喫茶店』などがリリースされ、前年に『元気です』をリリースした吉田拓郎さんもそれこそ最も元気な頃です。なので、寮ではとりあえずフォークギターを持っている生徒が結構いました。

 子供の頃から楽器で遊ぶことが大好きでしたから、同室の人のギターに興味を持ち、ちょっといじらせてもらったのですが、その瞬間に私の人生は大きく違う方向にかじを切りました。英国であれほど熱中した油絵はその後一切描かなくなり、ヒマさえあればいつも寮の誰かのギターを借りて弾いているようになったのです。

 そして同じクラスのM君と、音楽の話を通して仲良くなっていきました。彼はとても純真な性格で、当時私の周りにあったなんとなく敬遠されている空気や、私の中二病的なひねくれ感などまったく気にせずにフラットに付き合ってくれたのです。

 M君もギターを弾いたので、セッションをしたり、音楽についてしゃべったりと、いつも2人で遊ぶようになりました。私は歌うことよりギターに熱中していましたから、基本的に彼がメインボーカルで私がハモるというパターンでした。

 彼は本当にすごいボーカリストで、音感がもともと良い上に、何より圧倒的な声量の持ち主だったのです。プロになっていく過程でどんどん優れたシンガー、ミュージシャンとの出会いが増えていくのが普通だと思うのですが、音楽人生で最初に出会ったM君ほど「心からすごい!」と思えるシンガーには結局、その後出会っていません。

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