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【永遠の二枚目 市川雷蔵伝説】「股旅もの」グッとくる美女との出会いと別れ (1/2ページ)

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 市川雷蔵は粋でいなせな「股旅もの」にも数多く出演した。すらりとした旅姿、筋目を通す立ち回りも魅力だが、美女との出会いと別れも見ものだった。

 1955年公開の雷蔵初の股旅もの『次男坊鴉』は家を飛び出し、やくざ渡世を送っていた旗本の次男坊が、兄上様が亡くなるという御家の一大事を受けて、武士に戻って日光奉行という大切なお役目を果たす。彼は世話になった親分のひとり娘と一緒になると約束していた。娘の危機に次男坊はたった1日だけやくざに戻る決心をする。

 見せ場はやくざ姿の雷蔵が凛々しい旗本に変身する瞬間。姿かたちをガラリと変えるのは二枚目主役のお約束。ひとりの女を愛し続けるのもお約束である。相手役は山田五十鈴の娘、嵯峨三智子だった。

 長谷川伸原作の名作『沓掛時次郎』では渡世の義理で斬り合った男の妻子を助け、無事に故郷足利の実家へ送り届ける。斬った相手の女房おきぬと心を通わせても、恋心はぐっと我慢の時次郎。くーっ、切ない! おきぬはど根性ドラマ『細うで繁盛記』のほっそり美人、新珠三千代。

 晩年の名作『ひとり狼』で演じた伊佐蔵は、昔、駆け落ちを図った恋人由乃が自分の子供を産んでいたことを知る。相手役は小川真由美。川のほとりで再会した伊三蔵と母子。見つめ合うがゆっくり目線をはずし(ここが色っぽい)、背中を向けて歩き出す。だがたまらず振り返ると、相手も振り返っていた…。過去の明るい渡世人とは違い、ぐっと大人になった雷蔵の伊三蔵。やくざ渡世の虚しさ、妖艶というより、母の強さを見せた小川と雷蔵の共演は新鮮だ。それにしても伊三蔵のキメ言葉がすごい。

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