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【みうらじゅん いやら収集】エロス?何ぬかしてやがんでぇー! どうせ接吻だけでは終わるまい

 元来、苦手なものに“エロス”がある。

 ギリシア神話に登場する恋心と性愛をつかさどる神の名称だというが、気に入らないのはそれを気取って言う輩である。

 「君にはとてもエロスを感じるよ」

 何ぬかしてやがんでぇー! 要はチンコがビンビンだぜってことだろ。それに類似した言い回しに「君はエロチックだね」があるが、それも同様。チックを付けて柔らげたつもりだろうが見え透いているぜぃ。やっぱ、ここは男らしく「エロ」でいこうじゃないの諸君!

 先日、上野の西洋美術館に行ったのだが、常設展のロダン・コーナーにグッときた。

 館前の敷地内にもあの有名な『考える人』の銅像があって、いまだ結論が出ないようでスッ裸のまま考え続けておられたが、僕が取り分け釘付けになったのは『接吻』と題された男女揃ってのヌー銅(コレ、ヌード銅像の略称)。いつ作られたものか知らないが、こちらも長い間、飽きもせず接吻されていた。じっくり鑑賞させて頂いたのだが、2人は岩場のような場所に座っての接吻。

 老婆心を覚悟で忠告するが、そんな所に長く座っていると尻を擦り剥くぞ。どうせ若い2人のことだ。この先、接吻だけでは終わるまい。寝ころんだら最後、どちらが上に成るかは知らんが背中も傷だらけだ。その後、風呂にでも入ろうものなら「ヒィー!」と、叫び声をあげること間違いなし。近所に安いホテルでもないのか? 心配である。

 さらにじっくり見ていくと、男の左足を女が踏んでいる。これはどうしたプレイだ。そういや男の腰が少し引けてる気がする。さては女のほうから仕掛けたな。これは“歓喜天”と呼ばれる象頭のガネーシャが二体抱き合っている像にも見られる現象。相手が逃げないようにか、なぜか一方が足を踏んでいる。

 ま、そんなことはさておき、じっくり見てるとかなりエロ。写真は箱根の彫刻の森美術館で買った『接吻』のレプリカ。本物より肌が白くて生々しい。

 ■みうら・じゅん 1958年2月、京都市生まれ。イラストレーター、漫画家。エッセイストとしても知られ、97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞した。近著に『ラブノーマル白書』(文春文庫)、『みうらじゅんの松本清張ファンブック「清張地獄八景」』(文芸春秋)など。webサービス「note」でいとうせいこう氏との自主ラジオ『ご歓談』を配信中。

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