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【織田哲郎 あれからこれから】首絞め強盗に襲われ…「声帯の骨が曲がっている」 心底思った「俺は歌いたい」 (1/2ページ)

 2000年夏、スペインで首絞め強盗に襲われたため、帰国後、病院に行くと「声帯の骨が曲がっている」と言われました。

 大ざっぱに言うと、声帯はギターでいえば弦のようなひだが骨に張られていて、それを筋肉で張ったり緩めたりすることで声の高低をコントロールしています。そのひだが張られている骨が曲がっていると言われたのです。

 つまり、高い声を出すためにひだを伸ばそうとしても、骨自体が曲がっているのでちゃんと伸びないわけです。

 私はもともとボーカリストの中でも相当ハイトーンが出るタイプでした。上のドやレの音まで地声で出ていたのですが、そのオクターブ下のレ、せいぜいミの音までしか出なくなっていました。早い話、こんな音域では世の中の歌はほとんど歌えません。

 しかも楽器の構造自体が変わってしまったようなものなので、高い音が出ないだけでなく、どう力を入れたらどの音が出るという、それまで無意識でやれていたことがうまくできなくなってしまったのです。

 ほかの病院に行っても言われることは同じでした。変に思われるかもしれませんが、医者にそう言われたとき、私が感じたのは「ああ、そうきたか」という思いでした。

 それまでの数年間、仕事として音楽は必死で作っていましたが、ひたすら酒に逃げるばかりで、人間としても音楽家としても、結局なげやりだったのです。「そりゃ音楽の神様も怒るよな」と、どこか納得がいきました。

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