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追悼・福本清三さん 間合い、表現、卓越したチャンバラ おごることなく貫いた斬られ役 主演映画の企画も「アホなこと言いなさんな」 (1/2ページ)

 今月1日に77歳で死去した俳優、福本清三さん。「斬られ役」一筋の人生を、主演作『太秦ライムライト』でプロデューサーを務めた演出家・脚本家の大野裕之氏がしのんだ。

 「5万回斬られた男」の異名をとる時代劇の斬られ役、福本さんとは、14年前にチャップリン特集番組で初めて出会いました。斬られ方を研究していた若き日に、ものすごい倒れ方で笑いをとる喜劇王を見て体当たりの演技に開眼されたとのこと。以来、大きくのけぞる独特の斬られ方でファンを増やしていくのですが、注目されたのは類まれな身体能力だけではありません。斬る側との間合い、悪役の手ごわさの表現など、チャンバラには卓越した演技力が必要です。かの萬屋錦之介をして「斬られ方がうまい。それは芝居がうまいということだ」と言わしめたことを、かねがね誇りにされていました。

 次第に新聞やテレビで取り上げられるようになり、ついには『ラストサムライ』でトム・クルーズの共演者に抜擢(ばってき)。しかし、決しておごることなく、一斬られ役にこだわり続けました。

 2007年の夏、福本さんを主役に、京都の撮影所を舞台にした映画『太秦ライムライト』の企画が持ち上がり、私は脚本執筆の取材として当時多くの時代劇に仕出し(エキストラ)で出演しました。真冬の撮影ではいくらカイロを貼っても寒くてたまらない。「二度とこんなことやるか」と思った瞬間、それを数十年続けてきた福本さんの誇りに思いをはせ、どうしてもこの映画を作らなければと思ったのでした。

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