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【昭和歌謡の職人たち 伝説のヒットメーカー列伝】酒井政利さん(3) 歌の発想は映画監督、タイトル名人 (1/2ページ)

 1982年に梓みちよのアルバム『夜会服で…』で酒井政利さんと仕事をすることになった。サウンドプロデュースは加藤和彦さん。大まかな全体像はもう加藤さん、作詞の安井かずみさんと話ができていたのだろう。酒井さんがオケ録りに来ることはなかった。

 この仕事で酒井さんとアレンジやサウンドについて話をすることはなかった。音楽に精通したディレクターが多いが、なまじ知識があると邪魔をすることもよくある。大衆目線で客観的な感性の持ち主のほうがいい。岸田智史(現・岸田敏志)の『きみの朝』のデモを聴いて、声をかけたのは酒井さんである。

 79年の映画『エーゲ海に捧ぐ』の宣伝用音楽として酒井さんが用意していたものが、化粧品のCMソングになったジュディ・オングの『魅せられて』だった。独特な衣装も話題を集めてミリオンセラー。レコード大賞も受賞した。

 映画好きの酒井さんはタイトル名人でもあった。『秋桜』『異邦人』『2億4千万の瞳』など挙げたらきりがない。

 キャンディーズ担当の渡辺音楽出版、松崎澄夫プロデューサーは「キャンディーズの解散の頃、ソニー社内の混乱を収めていただき、そして、キャンディーズの最後のアルバムタイトル『早春譜』を即座に提示された。言葉の使い分けは硬軟巧みでした。われわれの視点と違い、秀逸なアイデアがポンポンと出る。常に世の中を見続けているすごい人です」と話していた。

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