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【当てちゃる券】競輪道 競輪は人間が走るから面白い 玉野ナイター最終日11R 佐々木がまくって〔3〕⇔〔5〕-〔1〕〔2〕〔7〕

 競輪はギャンブル。

 「明日のレースはこうやって走ります」と前日からファンに情報提供をする。だから自分の言葉には賭け事の対象として重い責任が生じる。

 「逃げる」と言って逃げなかったり「競る」と言って競らなかったりは一番よくない。

 ある時、小倉の予選で若い馬(先行)を付けてもらって喜んだ地元の後輩S君。ところが、目標不在のマーク選手が「地元に悪いが番手勝負します」と宣戦布告。周回中は並走していたが、赤板からピッチが上がると競りが苦手なS君はアッサリ番手を明け渡し、その後、取り返しにいくこともなく後方で凡走した。

 ここでは、たとえ負けても番手で最後まで競ってほしかった。競られたからといって簡単に引いてはファンを裏切っている。

 もう一つは、ある記念の決勝でラインの3番手を回っていた一流マーク屋のM選手の走り。最終2Cでまくりを止めた2番手選手を内からすくい、逃げた選手も早めに切って捨てて優勝した。2人とも背中から味方にバッサリ斬られた感じだ。まさに仁義なき戦い。

 M選手のコメントは「関東3番手から」とあったが同じ地区のラインなのに始めから含みを持たせたコメントに聞こえた。3番手には3番手の仕事がある。いやなら別の選択をすべきだろう。

 大相撲の白鵬は立ち合いが横綱らしくないとよく批判されるが、ただ勝てばよかろうでは、横綱の地位が泣く。競輪だって一流選手に仁義を欠くレースはしてほしくない。競輪の魅力は人間臭さ。

 ただ、このコラム欄で平尾昌也さんが“競輪とストリップは前々だ”と書いていましたと言われたら一理あるが…。

 玉野ナイター最終日S級決勝(11R)は、3分戦に単騎の芦沢となった。染谷と今岡の意地の同期の先陣争いを佐々木が豪快にまくって香川と直線勝負〔3〕⇔〔5〕-〔1〕〔2〕〔7〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。