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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「山」》記者の醍醐味は取材“後”にある (1/2ページ)

 相手を取材し、原稿を書き、記事として掲載する。一連の記者の仕事には思わぬ副産物がある。“人とのつながり”である。フィギュアスケート男子、宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=の活躍を想定し、たどり着いた取材先が、祖父の宇野藤雄さん。昨年11月に取材をさせていただいた。以来、この半年間、何度も携帯電話が鳴った。

 「会いたい。あなたにもう一度会いたい。会って話がしたいんや」

 御年91歳。プラハ国立美術館、フランスのベルシー美術館などに作品が収蔵され、世界各国で展覧会を行うという現役の洋画家。その彼が「また会いたい」と言ってくださるのだ。平昌五輪の取材が終わって一息ついたいま、彼の年齢を考えれば、のんびりもしていられない。

 取材という枠を超え、彼は私に縁を感じてくれた。だから私も仕事という枠を超え、縁をたぐり寄せる。

 休日を利用し、名古屋まで会いに出かけた。再会した宇野さんは、3分ほど歩くと「ちょっと休んでいいかな」としゃがみこむ。そうか、足腰が決して強くないにもかかわらず、自宅から電車に乗ってきてくださったのだ…。ありがたさで涙ぐむのを堪え、一緒にしゃがみこんで休憩を取りつつ、飲食店にたどり着いた。

 「5年ぶりに着ましたよ」という紫色が美しいスーツに、ポケットチーフまで同色でまとめたダンディーな装い。前回取材でお会いしたときは、緊張感が漂っていたが、今回は柔らかくて穏やかな気持ちで臨んだ。

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