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【ドクター和のニッポン臨終図巻】高座に上がるためにやれることを… 桂歌丸さんの姿がCOPD患者の勇気に (1/2ページ)

★桂歌丸さん

 「山田君、楽さんの座布団、全部持っていきなさい」

 「まだくたばらない」「死体がしゃべった」など、円楽さんの「歌丸死亡ネタ」と座布団没収のやりとりは『笑点』の名物でした。死を笑いにできる、唯一のテレビ番組だったと思います。

 しかし数年前から、歌丸さんの健康状態が悪そうで、さすがにもう…と視聴者がヒヤヒヤするのも何のその、2人の掛け合いは続きました。まるで言霊を逆手に取るかのように。死をネタにできるうちは師匠は死なない…そこに円楽さんの深い愛を感じました。

 歌丸さんは2009年に慢性閉塞性肺疾患(COPD)で入院。その後も、毎年のように入退院を繰り返します。

 15年には腸閉塞にも苦しめられ、昨年の雑誌のインタビューでは、「意識がないまま病院に担ぎ込まれたら、人工呼吸器だとか、そういった延命装置をつけるのは絶対にやめようと(妻と)話し合っているんです。意識がなくて何もわからないんじゃあ、つまらないもん。延命装置をつけても治らない人を何人も見てきましたしね」と語っています。死への覚悟ができていたようです。

 「えっ? でも歌丸さんは鼻からチューブをつけて落語をしていたよ?」と思った方もいるでしょう。

 しかし、酸素吸入=延命治療とは限りません。その意味合いはその人の病状によって大きく違ってきます。高座に上がるためにやれることは全部やろう…ここ数年の歌丸さんからはそんな気概を感じました。その姿は、多くのCOPDの人を勇気づけたはずです。

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