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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「涼」》真夏の雪女 (1/2ページ)

 「くらやみをふわりと脱ぎし雪をんな 扇橋」

 3年前に亡くなった落語家・入船亭扇橋師匠の一句。夏の暑さの中、ひやりと背中を涼気がよぎるようだ。10年前の「圓朝まつり」で販売された「福扇」に揮毫(きごう)されている俳句で、縁あって師匠からいただいたその扇子を、かばんに入れて持ち歩いている。

 東京・谷中の禅寺、全生庵には、「怪談牡丹燈籠」などの原作者として知られる三遊亭円朝の墓がある。8月11日の命日をはさんで、毎年「圓朝まつり」(8月1日~31日)が開催されている。かつては落語協会の「ファン感謝デー」として、芸人さんの屋台が出るイベントも行われた(現在は湯島天満宮で「謝楽祭」として開催、今年は9月9日)。趣向を凝らした「福扇」はその目玉商品というわけだ。

 全生庵は、円朝が収集したという幽霊画コレクションでも知られており、「圓朝まつり」の間、一般公開されているので、久しぶりに見に行った。

 足のない幽霊を描き始めたといわれる円山応挙作と伝わる幽霊図は、上品な面差し。ぼんやりとシルエットだけが浮かび上がる「雪女図」や、蚊帳の前に立つ雪のように白い顔の幽霊など、美しい姿もあるが、髪が抜け上がり、やせ衰えた無残な形相もさまざまに描かれる。冷房が強く効いた展示室は、ちょっとした異世界だった。

 怪談といえば夏となんとなく思っていたが、「牡丹灯籠」を読みかえしてみて、幽霊が出てきたのはお盆だからだと気付いた。