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【ドクター和のニッポン臨終図巻】元一橋大学学長・石弘光さん 経済学者らしく…最期まで冷静に「有言実行」 (1/2ページ)

★元一橋大学学長・石弘光さん

 平成を代表する経済学者で元一橋大学学長の石弘光さんが8月25日に亡くなりました。死因は膵臓(すいぞう)がん、81歳でした。がんが見つかったのは、一昨年の6月。5年前から膵臓にあった嚢胞が突然がん化したといいます。毎年検査を受けていたのにもかかわらず、発覚時にはステージ4b。リンパ節と肺への転移がありました。発覚時に末期…初期の段階ではなかなか見つからないのが、膵臓がんの怖いところです。

 数多の経済学の書籍を出版した石氏ですが、最後の本は自らの闘病を詳細に綴った『末期がんでも元気に生きる』(ブックマン社)というタイトル。

 がん闘病記は数あれど、予後の悪い難治性がんの代表とも言える膵臓がんの方が本を書くのは珍しいことです。感傷的な描写はほとんどなく、治療の分析と、腫瘍マーカーの変動を棒グラフにするなど、なんとも経済学者らしい、冷静な書です。石氏はこう述べています。

 「末期がんと聞くと多くの方は、入院して治療を受けるかあるいは自宅で静かに療養していると考えるらしい。ところが私は、数日間検査入院をした他に、抗がん剤の点滴を最初の2回、病院のルールに従い入院して投与してもらった以外は、日常的にはまったく健常者並みの生活を送ってきた。(中略)スポーツジムにも通っているし、月に1、2回は泊りがけで旅行にも出かけている。いわば私は、元気ながん患者なのだ」

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