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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】数少ない「音声医療」の専門家 日本大学医学部附属板橋病院・中村一博さん

★日本大学医学部附属板橋病院(東京都板橋区)耳鼻咽喉科診療准教授・中村一博さん(49)

 中村一博医師は小欄2度目の登場。前回は埼玉県内の民間病院の耳鼻咽喉科部長として紹介したが、今年の春から東京・板橋区にある日大医学部附属板橋病院の診療准教授・救急担当医長として、専門性の高い医療の提供に乗り出している。

 日本において数少ない「音声医療」の専門家として知られる中村医師。現在の病院に移って特に力を入れているのが「痙攣(けいれん)性発声障害」の外科治療だ。

 中枢神経の障害で起きる「ジストニア」という脳疾患があるが、これを原因として発症する痙攣性発声障害は、喉頭の筋肉が痙攣し、「声が詰まる」などの症状が出る。

 これまで甲状軟骨形成術とよばれる手術が行われてきたが、声帯にチタン製の専用器具を装着することで発声機能を改善する最新の手術法が今年、健康保険の適応となった。

 この手術法を10年以上前から導入していた中村医師は、認定講習の指導者として、後進の育成に力を入れている。

 「10万人に6人いるかどうか-という希少疾患ですが、それだけに患者はどこに行けばいいのかわからずに困っている。ここ(日大板橋病院)は、この手術の施設認定を持つ、国内でも数少ない病院。やりがいを感じます」

 他にも、甲状腺や食道のがん、あるいは胸部大動脈瘤の手術の合併症として起きる声帯麻痺の手術にも積極的に応じる。

 この麻痺は嗄声(させい=声がれ)を招き、会話をしていても相手が聞き取りづらくなることが多い。

 「がんや動脈瘤の手術で命は助かっても、日常の生活で不便を感じるなら、我慢する必要はありません。気になるなら主治医にこの記事を見せて、『この医者の話を聞いてみたいので、紹介状を書いてほしい』と頼んでみてください。きっと道は開けます」(中村医師)

 正しい知識と積極性を持つことが、効果的な医療を引き寄せるのだ。(長田昭二)

 ■中村一博(なかむら・かずひろ) 1969年青森市生まれ。96年東京医科大学卒業。2000年同大学院修了。01年同大八王子医療センター勤務を経て、14年戸田中央総合病院耳鼻咽喉科部長。18年4月から現職。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本気管食道学会専門医他。医学博士。趣味は楽器演奏。

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