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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】がん治療、3本柱から4本柱へ 医学的根拠ある免疫療法が登場

 がんに関する医学が急速に進歩しつつあります。そのなかで国際的に活躍している日本人の研究者が、がん研究会のがんプレシジョン医療研究センターの中村祐輔所長です。

 国立がん研究センター研究所所長や理化学研究所ゲノム医科学研究センター長などを歴任し、2012年からシカゴ大学医学部教授でしたが、今年の7月に日本に戻ってきました。

 シカゴ大学の教授になったときには、世界的な科学誌の『ネイチャー』が「ゲノム研究のエースが日本に見切りをつける」と報じたことからわかるように、中村所長は国際的に知られた研究者といえます。

 その中村所長が実用化を目指しているのが「リキッドバイオプシー」というがんの検査法と「ネオアンチゲン療法」というがんの治療法です。

 リキッドバイオプシーは血液や尿に含まれているがん細胞のかけらやがん遺伝子をAIを利用してチェックすることで、がんの発症や再発を調べるというものです。すでに技術的には解決していますから、残された問題はコストだけのようです。

 ネオアンチゲン療法は一種の免疫療法でがん細胞を攻撃する「T細胞」という免疫細胞を活性化することで、がん細胞を殺してしまうという治療法です。その効果を認める論文が、昨年7月に『ネイチャー』に掲載されました。

 最近、話題となっている「オプジーボ」も、がん細胞を守っている分子の働きを抑えることで、免疫細胞にがんを攻撃させるという免疫療法の一種ですが、免疫細胞の数が少ないと効果が発揮されません。ネオアンチゲン療法はゲノム解析をして個人に合ったワクチンを作り、そのワクチンを注射することで、がんを攻撃する免疫細胞を増やすという画期的ながんの治療です。

 これまではがんの治療の3本柱というと外科的手術、放射線治療、抗がん剤でしたが、ネオアンチゲン療法の登場で4つ目の治療として医学的根拠のある免疫療法が加わる日が近いようです。(山野医療専門学校副校長・中原英臣)

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