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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】気心通じる接し方で患者の心を開く 東京西徳洲会病院・渡部和巨院長

★東京西徳洲会病院・渡部和巨院長(61)

 院長室に通されると、うずたかく積まれた書類の向こうから、柔和な笑顔が現れた。

 渡部和巨(かずなお)医師が院長を務める東京西徳洲会病院は、半径10キロ圏内に160万の人口を持つ、北多摩地区を代表する大型病院。もともと基幹病院を持たなかった東京都昭島市に2005年に開設以降、地域への医療貢献を着実に進め、現在は22の診療科と13のセンターを擁する地域医療の拠点として機能している。

 十数年前、湘南鎌倉総合病院外科部長時代に密着取材をした時は、朝6時半から夜の9時過ぎまで、何件もの手術を休憩なしで掛け持ちしていた。

 「不思議なもので、手術をしていると疲れを感じないんです」と話していたが、今回久しぶりに会って話を聞くと、「さすがに疲れるようになりました」と笑って白状。それでも自院の他、鎌倉や藤沢などのグループ病院を定期的に回り、若手医師の育成を兼ねて手術室に入っている。

 近年の日本の医療が臓器別の専門性を追う方向にある中、渡部医師は「外科全般」にこだわり、脳と心臓以外のすべての領域の手術に対応してきた。

 前回の取材で「神の手はいらない。普通の医療を丁寧に、確実にやり遂げられる外科医でありたい」と話していたその思いは、院長となった今、スタッフに浸透。理念に掲げる「断らない医療」は、月間救急搬送受け入れ件数600件という実績を生み出している。

 そんな渡部医師が心がけているのは、徹底して患者に寄り添うこと。

 「外来では、患者さんが入って来る前から扉を見つめ、開いた瞬間から目が合うようにするんです。耳の遠い方と話す時も、大きな声で話すのではなく、耳元でゆっくり話せば通じる。そんな気心の通じる接し方をすれば、患者さんは心を開いてくれるし、じつはこちらもラクなんです」

 手術以外にも長年培ってきた“秘術”が豊富にある。それを若手に伝承するために、渡部医師の忙しい毎日は続く。(長田昭二)

 ■渡部和巨(わたなべ・かずなお) 1957年生まれ。85年、旭川医科大学を卒業し、茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢病院)入職。その後、湘南鎌倉総合病院に移り、米国留学を経て、98年湘南鎌倉総合病院外科部長。2006年同副院長。08年茅ヶ崎徳洲会総合病院院長代行を兼務。14年から現職。医療法人徳洲会常務理事。日本外科学会指導医・専門医。

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