記事詳細

【ドクター和のニッポン臨終図巻】第54代横綱・輪島さん 明るさ失わず、見事な人生の“千秋楽” (1/2ページ)

 「千秋楽」という言葉の響きが好きです。語源については諸説ありますが、元々は雅楽の最後に演奏される曲名だったとか。

 「秋」は「終」と同じ読みですね。私はこの言葉を目にするたび、「人生には1000通りの終わりがあるが、どの終わりも楽しくあれ!」というイメージがなぜか浮かびます。

 10月8日に亡くなった第54代横綱輪島こと、輪島博さんの葬儀が15日に行われました。享年70。葬儀には大勢の著名人が駆けつけ、故人の人脈の広さがうかがえました。デーモン閣下が『千秋楽』というオリジナル曲をアカペラで歌い、出棺時には通算勝ち星の数と同じ673個の金色の風船が空に舞いました。金色は輪島さんが好んだまわしの色でした。なんだか楽しげなお見送りでした。

 輪島さんに下咽(いん)頭がんが見つかったのは、2013年秋のこと。すぐに切除手術を受け成功しましたが、声帯を失いました。咽頭は鼻の奥から食道までの通り道となる部分です。上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれます。下咽頭は喉の一番奥の食道につながるところです。

 下咽頭がんは、初期の頃は症状が出ないことが多く、発見時には6割以上の人が進行した状態という、やっかいながんです。また、3割近くの人に食道がんとの重複を認めます。

 食べ物を飲み込む時に異物感がある、しみる、耳の周囲が痛む、声がかすれるなどの自覚症状があれば必ず受診してください。進行した下咽頭がんで手術可能な場合、多くは咽頭全摘手術となり、声帯を失うことになります。命と引き換えに声を失うことがどれほど辛いかは、経験した人でないとわからないでしょう。

関連ニュース