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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「爽」》テーマは「爽」 梨が運ぶ便り (1/2ページ)

 栃木の両親から、箱いっぱいの梨が届きました。ああ、もう秋なんだなあ。早速かじってみると、じゅじゅっと果汁が口いっぱいに広がります。この夏の暑さを全て詰め込んだみたいな大きな梨は、1食分になりそうなほどの分量。それが箱いっぱいですから、独り占めはもったいない。お世話になっている同僚や知人に、秋のおすそ分けを思い立ちました。

 そこで思い出したのが近所に住んでいるおばあちゃん。地域のボランティア活動でキュウリの買い物を頼まれたのが縁で、その数日後、ぬか漬けに生まれ変わったそれはわが家の食卓に上りました。その後も、「おかずを作りすぎたから」と電話をいただき、煮豆や焼き魚をいただいたこともあります。今年の猛暑、おばあちゃんが体を壊していないか気になっていたのですが、連絡ができないまま季節はすっかり秋になってしまいました。

 梨を持っておばあちゃんの家に行くと、おばあちゃんは「ごめんなさい、あなたとお会いしたのはいつだったかしら」とおっしゃいます。ボランティアのこと、その後もおかずを分けてもらったことを説明して「ああ、そういえば」と思い出していただけたのですが、おばあちゃんは、認知症で施設暮らしの私の祖母より1歳年上。日常のことは問題なくできるにせよ、忘れられないようときどきは連絡しよう、と誓ったのでした。

 無精な私は、忙しさにかまけて取材で生まれた多くの人間関係を維持できていません。年賀状文化もすたれてしまった昨今、年1回のあいさつすら交わさない相手もどんどん増えてしまっています。