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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・穂積隆信さん 過酷な人生から逃げず…献体に込めた想い (1/2ページ)

 300万部。これは、1980年代にベストセラーとなった『積木くずし~親と子の二百日戦争』の売り上げ部数です。

 現在は3万部を超えればベストセラーと言われるのですから、そのインパクトはいかばかりだったでしょうか。この本の著者であった俳優の穂積隆信さんが10月19日に亡くなりました。享年87。死因は胆のうがんでした。

 穂積さんの娘、『積木くずし』のモデルだった由香里さんは2003年に持病を悪化させて35歳で急死されています。由香里さんの母親で、穂積さんの前妻である女性もその2年前に自死。積木は、元には戻らなかったのです。

 子供に先立たれた「逆縁」の人は、私の在宅患者さんにも何人かおられます。その多くが、「私のせいで死なせてしまった」と深い悲しみを背負いながら旅立たれます。

 穂積さんには、本がベストセラーになったせいで、自ら家族を壊してしまったという痛恨の思いがありました。「私の人生は積木くずしに始まり、積木くずしに終わった」とお元気な頃に発言されています。

 命を投げ出してもおかしくないほどの過酷な運命…しかし穂積さんは人生から逃げませんでした。トラブルの元となった借金を、80歳を超えても仕事をして返済し続けました。そして胆のうがんが発見されたのは今年8月のこと。

 胆のうは肝臓の下面に位置し、肝臓でつくられる胆汁という消化液を濃縮・貯留しておく袋の形をした小さな臓器です。

 胆のうがんは、初期段階ではほとんど症状はありません。進行して初めて、発熱、みぞおちや右の脇腹あたりの痛み、食欲不振、体重減少などの症状が出てきます。

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