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【ドクター和のニッポン臨終図巻】ジャズピアニスト・佐山雅弘さん 「自分は自分が出会った人で出来ている」感謝の遺言 (1/2ページ)

 〈このお手紙がお手元に届く時、僕はこの世におりませんが、長きに亘ってのお付き合いにお礼を言いたくて家人に託しました(中略)

 まことに人生は出会いであります。「君の身体は君の食べたモノで出来ている」と言いますが、まったく同様に僕という者は僕が出会った人々で出来ているのだとしみじみ実感したことです。その出会いを皆様にあらためて感謝しつつ、今後益々の良き日日を祈りながらお別れをします(後略)〉

 11月14日に亡くなられた日本を代表するジャズピアニスト、佐山雅弘さんが残したメッセージです。享年64。死因は胃がんでした。

 仕事柄、多くの人の遺言を見てきましたが、これほど爽やかで屈託ない手紙を読んだことはありません。「自分は自分で出会った人で出来ている」。医者には言えない名言です。私の地元、兵庫県尼崎市出身ということもあり、誇らしささえ感じました。

 佐山さんが体に異変を感じたのは2014年8月。急激に食事量が減り、近くのクリニックを受診すると逆流性食道炎との診断。しかし10キロも痩せたことに疑問を覚え、別の医療機関で胃カメラ、CT、PETと検査を重ねましたが病態が明らかにならない。結局、開腹しないとわからないとの説明で、11月4日に開腹手術。結果はスキルス胃がん。胃の3分の2を摘出しました。

 どうしてそこまで見つからないの? と思う人もいるかもしれませんが、これがスキルス胃がんの怖さです。胃壁の内側を這うようにしてがんが広がるため、早期発見が難しく、健診では見落とされる場合があります。しかし佐山さんの場合は、食欲不振などの自覚症状があったため、比較的早期のステージ2の段階で発見されたのでしょう。

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