記事詳細

【ドクター和のニッポン臨終図巻】コラムニスト・勝谷誠彦さん 「死ぬなんて馬鹿だ」大勢の人が葬儀で泣き… (1/2ページ)

 私は、痛みや苦しみの少ない最期、「平穏死」を謳(うた)い続けている町医者ですが、それと人の生き方はまったく別の話です。時に過激すぎたり、時に狂気であったりと、どうやっても平穏には生きられない人に、憧れや抗(あらが)えない魅力を感じてしまうのも事実です。

 同じ兵庫・尼崎に生きたコラムニストの勝谷誠彦さんもそんな一人です。11月28日に尼崎市内の病院で死去。享年57。死因は、重症アルコール性肝炎からの肝不全でした。勝谷さんとは10年以上の付き合いでした。開業医をされていたお父様は昔、尼崎市内科医会の会長で、私がその何代か後に同職に就任した際、一番喜び、いつも激励をしてくれた恩人です。そうした御縁で誠彦氏と出会いました。

 無頼派(もはや死語ですが)という言葉が似合う文筆家でした。見かけの強引さとは裏腹にとても繊細で几帳面な人。その頃から勝谷さんの酒量が気になっていましたが、それが仇となってしまいました。

 アルコールを処理する臓器は右上腹部にある肝臓です。長年にわたってお酒を大量に飲み続けるとアルコール性慢性肝炎や脂肪肝を経て、やがて肝硬変に至ります。これらを治す手立ては禁酒しかありません。

 それでもお酒を飲み続けると「劇症型肝炎」や「肝不全」となり、黄疸(おうだん)や腹水や肝性脳症や消化管出血などの合併症を呈します。そうなると急変して亡くなることも珍しくはありません。肝不全とは肝臓がほぼ働いていない状態です。するとアンモニアという毒素が肝臓で解毒できないため脳の働きが低下し、手をバタバタ振ったり、興奮したり、最終的には意識レベルが低下してしまいます。

関連ニュース