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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「聖」》時空が交わる地下駅で (2/2ページ)

 御前会議では、御料地内に建設するものだから「品位に欠けるものではならない」とのお達しがあったといわれていて、西洋風の荘厳な造りの駅舎になったそうだ。

 平成の終わりに「勅許」などという言葉を聞き、なおさら時を巻き戻される気がした。実際のところ、平成に入っても使われていたとは思えないほど、駅構内は時代がかっている。切符売り場の前のすり減った木の手すり。落書きで埋め尽くされた壁。開業以来、大きな改修工事もなく、昭和初めまで続く時間が凍結されているようだ。

 ホームは短く、4両編成の列車しか停車できないという。だが、そのホームには近づけなかった。ガラスの間仕切りを通して、階段の先にある木製の改札口をのぞくことしかできない。線路は現役で、京成電車が今も走っているからだ。

 町の情景がどんどん変わり、取り壊される前は何があったかすぐに思い出せないことも多い。ついこの前、という気でいても、思いのほか遠い過去となっている。けれども、過ごしてきた時間は一直線に続いて、今の自分を形づくっている。時空が交錯した薄暗い地下駅に下り立ち、不思議な思いに誘われた。

 アートイベントでは、駅が休業した年に死んだ上野動物園のパンダ「ホァンホァン(歓歓)」の頭蓋骨標本なども展示されていて、お勧めです。(N)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。12月のお題は「聖」です。

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