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【ドクター和のニッポン臨終図巻】がんになっても仕事を諦めない 日本対がん協会前理事・関原健夫さん (2/2ページ)

 「ちょうど金融の大激動期にあたり、面白くかつ責任のある仕事が続いたため、余計に死ねないという気持ちにさせられた」と著書の中に書いておられます。がんを克服できたのには、仕事を辞めなかったことも大きく起因しているはずです。

 こうした経験を踏まえ、「がんになっても働ける社会づくり」のために講演会などを行い、対がん協会での活動に邁進(まいしん)されていました。

 さらに関原さんは、ようやくがんを克服した20年ほど前に、今度は心臓の疾患が見つかり心臓バイパス手術を受けています。

 その頃より死のシミュレーションをしっかり行い、「〇〇の場合は延命治療はいらない」と具体的に書いたリビングウイルを、奥様に渡していたそうです。そして、死の前日まで元気に活動されていた関原さんは、その朝、ご自宅で急ではありましたが穏やかに旅立たれたようです。著書の中で、こうも書かれています。

 「病気の最大の支えは、良き人間関係。それまでの人生で、どういう人間関係をもってきたかが闘病を支えるすべてだと思います」

 良き仕事をすると、良き人間関係が必ず得られます。だからこそ、がんになったからと仕事をあきらめては、もったいないのです。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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