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【日本の元気 山根一眞】“情報道具”の歴史を物語る秘蔵品公開 「科学者たちの秘蔵コレクション展」開催中 (2/2ページ)

 私が超小型録音機にことさら愛着があるのは、仕事の基本がインタビューで会話記録が欠かせないからだ。その愛着が高じてテレビ映画「スパイ大作戦」の冒頭に登場する小型オープンテープ録音機も何種か入手。精密時計の技術で作られたスイス製の「世界一美しい機械」とされる超小型録音機(NAGRA・SNST)も出展。ウォーターゲート事件でニクソン大統領を辞任に追い込んだ音声記録は、このマシンで録音したと伝えられている。

 これら諜報活動用カメラや録音機は、刻まれているブランド名から海外製と思っていたが、今回、大半が「Made in Japan」だとわかった。「占領下日本製」と英語で小さく刻まれているものもあった。太平洋戦争の終戦後、日本の小さな町工場がこういう精密機械を製造して腕を磨き、外貨を稼ぎ、それが後の「ものづくり日本」の礎になったのだ。私が18年にわたり週刊誌で連載した技術者対談「メタルカラーの時代」の原点ここにありと、超小型で美しいマシンたちが語っているように思えた。

 私がこれら秘蔵品を公開するのは初だが、処分する前に何らかのかたちでさらに公開すべきかなと考えている。

 ■山根一眞(やまね・かずま) ノンフィクション作家、福井県年縞博物館特別館長。北九州博覧祭北九州市パビリオン、愛地球博愛知県総合プロデューサーなど多くの博覧祭、万博を手がけてきた。近刊は『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』『スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち』。理化学研究所名誉相談役、JAXA客員、福井県文化顧問、獨協大学非常勤講師、日本文藝家会員。

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