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【ドクター和のニッポン臨終図巻】ユーチューバー・エイジさんの死に思う、水難事故の恐ろしさ (2/2ページ)

 映画などでは、溺れている人はバシャバシャと水で暴れるように描かれますが、実際はそうでない場合の方が多いです。息をするのが精いっぱいなので声が出ません。手を振り上げることも困難です。一緒に泳いでいても気づかないことがあるのはこのためです。

 大量の水が鼻や口から入ることで気道が塞(ふさ)がれ、肺の機能が奪われて低酸素血症を起こします。咽頭がけいれんを起こすこともあります。酸素欠乏状態から急激に体温が下がり、中枢神経障害を引き起こし、かつ、意識が低下し、心肺停止に至ります。

 警察庁の発表では、国内で海や川、湖での死者・行方不明者は年々減り続け、一昨年は654人となっています。しかし日本人が一番溺死している場所は、自宅の風呂です。年間4000人以上が風呂で水死しており、その多くが冬場の温度差による血圧の変化(ヒートショック)によるものです。人間は、水なしに生きていけませんが、水を恐れることも忘れてはなりません。

 アバンティーズの4人は、幼稚園から中学校までずっと同級生で中学時代から動画を作っていたとか。そして彼らのキャッチコピーは、「笑顔の発電所」だそう。

 今回の原稿を書くにあたり、YouTuberという仕事の素晴らしさを理解しました。動画の中のエイジさんの笑顔は永遠です。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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