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【BOOK】「ファザーファッカー」から25年…あの地獄を母親目線で描く 内田春菊さん『ダンシング・マザー』 (1/3ページ)

★内田春菊さん「ダンシング・マザー」文藝春秋1650円+税

 性的虐待を受けた体験を小説にし世間に衝撃を与えた『ファザーファッカー』から25年。新作はあの“地獄”を母親の視点から描いた。いま大腸がんという大病を乗り越え書き上げた“マザー作家”に本書への思いを聞いた。(文・竹縄昌)

 --執筆のきっかけは

 「5、6年ぐらい前、毒母ブームがあって、当時、“毒母”をテーマに、と頼まれたんです。小説を、と言われたわけじゃないのですが、100枚ぐらい書いたところで最初に頼んできた方と連絡がとれなくなってしまいました。文春さんに引き継ぎ、書き直しているときに、文春で新装丁の文庫版『ファザーファッカー』が出ることを聞いて、それにうまく間に合えば、と思いました」

 --毒母と聞いて連想したのはやはりご自身のかつての体験ですか

 「毒母がひとつのブームとなっていた時期でしたから、私の母もそう言えるなと思ったんです。ですから改めてテーマを『毒母に絞って』と頼まれたとき、久しぶりに小説を書きたいと思いました。私にも子供ができましたが、母とは今でも仲直りはしていません。母を理解したり想像することと、許すこととは全然別問題。母がかわいそうな人だということはわかりましたが」

 --難しいですね

 「難しいです。本当に書くのが辛かったのは、『ファザーファッカー』の方でした。過去の終わった体験を書くのですから、どこか遠い国の話のように書きたかったんだけど、今回もそうはならなかった。“あの体験”をもう一回したという感じかな」

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