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【BOOK】何気ない“日常の一瞬”を大切に、今日を生きてほしい 三崎亜記さん「作りかけの明日」 (2/3ページ)

 --独特の世界観ですね

 「今回の話のきっかけは、マンホールでした。地面の下には水道、下水道、ガスなどさまざまなインフラが埋設されていますが、私たちは、それを気にせずに道を歩いています。足元のマンホールの中には、われわれのまったく知らないマンホールとまったく知らないインフラが存在していたとしたら…。そんな想像からストーリーが膨らんでいきました」

 --登場人物の設定、キャラクターの作り方は

 「少し“歪(ゆが)んだ”世界を描くことが多いので、逆に登場人物は、平凡な名前の、平凡な人物として描いています。ストーリーの中で登場人物が発した何気ない一言や、ちょっとした仕草などから、逆にキャラクターが決まってくることが多いですね。登場人物がどんな変化をするかは、作者にとっても楽しみです」

 --この作品に託したものとは

 「大震災や災害で、私たちは、いつまでも続くと思っていた日常がある日、突然終わりを迎えるかもしれないという漠然とした不安を心の奥底に抱えています。だからこそ、何気ない日常の一瞬を大切にして今日を生き、明日を迎えようと思ってもらえるような作品として読んでもらえたら幸いです」

 --いまの世の中をどう思いますか

 「ネットや技術の進化は、私たちの社会をより良く快適にしてくれるはずが、実際にはさまざまな〈ねじれ〉や〈歪み〉が生じています。100%の正しい選択が存在しない中で、それでも何かを選択し、前に進まなければならない混とんとした時代です。そんな時代だからこそ、お互いに、分かり合える部分に光をあてて、一歩でも歩み寄り、先に進もうとする努力が必要なのかもしれません」

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