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【BOOK】何気ない“日常の一瞬”を大切に、今日を生きてほしい 三崎亜記さん「作りかけの明日」 (3/3ページ)

 --いま、夢中になっていることは

 「3歳と1歳の娘たちです。私の小説は、いわゆる〈不条理小説〉ともいわれるものが多いのですが、子供の行動や発言は、こちらから見ると不条理そのもの。おそらく子供なりの道理や正しさに基づいて揺るぎなく発せられるせいか、こちらの方が間違っているような気にさせられてしまいます。自分の小説の中に迷い込んだような感覚を、毎日楽しんでいます」

 --読者にメッセージを

 「今回は〈最悪の事態〉を阻止しようと奔走するスパイ小説や冒険小説のようなエピソードと、そうした事態も知らずに、日々を懸命に生きている人々のエピソードが交互に語られます。そんな2つの、まったく無関係だった世界が交わり合い、どんな結末を迎えるのか…。読み終えたときに、ささやかな日常こそがかけがえのないものであることを知ってもらえたら嬉しいですね」

 ■あらすじ

 10年前、この街の地下プラントで、ある実験が失敗し、世界を滅ぼしうる物質を生み出した。漏出は食い止めたが、壁に謎の数字が浮上する。日々、数が減っていくそれは、世界が終わるまでのカウントダウンと噂されるようになった。街に終末思想が蔓延していく中、それでも住民たちは、愛する人々との日常を大切に暮らしていた。一方、実験に関わった2つの組織は、再び漏出の危機を迎えた「物質」を沈静化させるため、鍵となる人物「ハルカ」を奪い合い対立を深めていた。

 ■三崎亜記(みさき・あき) 1970年、福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2005年『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞し小説家デビュー。同作は三島由紀夫賞と直木賞、それぞれの候補になったほか、映画化されてベストセラーにも。ほかに『刻まれない明日』『失われた町』『鼓笛隊の襲来』『チェーン・ピープル』『ターミナルタウン』『手のひらの幻獣』『ニセモノの妻』『メビウス・ファクトリー』『30センチの冒険』などがある。

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