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【ドクター和のニッポン臨終図巻】「忍耐、勇気、創造の人生」をまっとう 哲学者・梅原猛さん (2/2ページ)

 脳にのみ魂が宿り、体は機械に過ぎないという西洋哲学的な二元論は日本人には合わないとの主張です。施行当時、提供者の意思確認がないまま移植手術が行われた事例が立て続けにあり、ことさら梅原さんは危惧を抱いていたようです。

 しかし臓器移植法で救われた命もあります。肉体とは一時の借り物で、死んだ後に臓器を他人様に使ってもらうという考えもまた、仏教的かもしれません。しかし、あくまでも本人の意思ありきです。私が啓発し続けている「リビングウイル」と一緒に臓器提供の意思も書いておきたいもの。それがない人の臓器提供には反対です。一度、この件について梅原さんとお話がしたかったのですが叶わず残念でした。

 最期は自宅で子供や孫たちに見守られ、「おじいちゃん、ありがとう」という言葉を聞きながら満足げな表情で旅立たれたそうです。「すばらしい大往生だった」と息子の賢一郎さん。なんといい言葉でしょう。己の最期を子や孫に見せること。それもまた、創造の人生ではないでしょうか。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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