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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】木桶で仕込む「楽しい酒」 山口県「五橋」 (1/2ページ)

★山口県「五橋」(下)

 山口県岩国市の酒井酒造は、観光名所の錦帯橋(きんたいきょう)近くにあり、五連の橋を表す「五橋(ごきょう)」を酒名としている。数年前、酒井秀希社長に代替わりしてからは、「美味しいけれど無難な酒」から一皮むけ、「エッジの立った美味しい酒」に変わった。

 それは28年間、五橋をつくりつづけてきた仲間史彦杜氏が力をつけ、今最も脂が乗りきっていることと無関係ではないだろう。

 仲間杜氏は、若いうちから前杜氏のもとで修業した、たたき上げだ。父は先代社長の大番頭を務めた人物で、自動車メーカーで車を組み立てていたところ、酒井酒造の次期杜氏として白羽の矢が立った。20歳の時だった。

 仲間杜氏の案内で、蔵を見せてもらおう。麹は麹蓋、回転式の製麹機、ゴアテックス製シートを使ったVEXを使い、3種類をつくり分けている。酒母の中には、自社田の米を、蔵付き酵母だけで醸した無添加生●まである。驚いたのは、木桶が6本もあったこと。木桶仕込みが片手間でない証拠だ。また搾りにもこだわり、ヤブタ(搾り機)とタンクを直接ホースでつなぐことで、生酒のフレッシュ感が格段にアップした。

 「他社と同じ酒では売れないから、みんなでいろんなアイデアを出し合って、日々試作をしています。幸い、社長も変わった酒を面白がってくれる。すごく楽しいですよ」