記事詳細

【大崎裕史 麺喰いにつき】「麺喰いにつき」でおなじみ!ラーメン評論家・大崎裕史が「KITTE丸の内」の新グルメゾーン「ラーメン激戦区 東京・丸の内」食レポ!

 ビジネスパーソンや観光客でますます賑わいを見せる東京駅エリア。その丸の内南口前にある商業施設「KITTE丸の内」地下1階に、新グルメゾーン「ラーメン激戦区 東京・丸の内」が3月5日にオープンし注目を集めている。東京のラーメンシーンを盛り上げる“新名所の創出”として、人気ラーメン店5店舗が集結した。

 そんな話題のスポットに、zakzakでラーメンコラム「麺喰いにつき」を好評連載中のラーメン評論家・大崎裕史さんが降臨! 自称“日本一ラーメンを食べた男”の大崎さんが、渾身の食レポをお届けする。

■「中華そば 福味(ふくみ)」

 ラーメン職人であり、ミスターラーメンと異名をとる前島司氏が率いる「せたが屋グループ」の最新ブランドだ。店舗を増やす度に味を変え、革新的な発想で新境地を開拓してきた前島氏。羽田に続く2号店だが今回の出店を機に、味やコンセプトも変え、まったくの新店として新たな息吹を注ぎ込んだ。

王道の味「中華そば」(中華そば 福味) 王道の味「中華そば」(中華そば 福味)

 基本メニューは「中華そば」。時代の先を行く商品開発が多かったが、今回は逆に王道の味だ。シンプルだからこそ難しい「中華そば」を完成させた。国産銘柄鶏「信玄鶏」を丸鶏で使用。ガラだけではなく、惜しみなく肉の旨味もスープに閉じ込めた。ひと啜りすると豊潤な鶏の旨味が押し寄せてくる。鴨油を香味油として使っているのも高級感を醸し出している。麺は北海道産小麦を使用した自家製細麺。スープと相性抜群で多くの人に好かれるラーメン、長く愛される一杯といえよう。

「ラーメン激戦区」限定メニュー「紅の煮干しラーメン」(中華そば 福味) 「ラーメン激戦区」限定メニュー「紅の煮干しラーメン」(中華そば 福味)

 そしてこの店舗限定で出してきたメニューが素晴らしい。その名は「紅の煮干しラーメン」。驚くなかれ、紫のスープなのだ。これは煮干しベースのスープに身体に良いとされるビーツを加えたもの。見て驚き、食べて感動の逸品。さらに紹介したいのは斬新なアイデアメニュー「よだれ鶏カレーライス」。よだれ鶏とカレーの組み合わせがこんなにもおいしいコラボになるなんて。私は行く度に麺とこのカレーを両方頼んでしまうに違いない。

■「松戸富田麺絆(まつどとみためんばん)」

 2時間を超える大行列になって、いち早く整理券システムを取り入れたほどの大人気店「とみ田」(千葉県松戸市)。ラーメンイベントで軒並み優勝(しかも何連覇もしている)や大賞を獲得し、「ラーメン界の絶対王者」「大横綱」と呼ばれている。地元を愛する店主・富田治氏ゆえに、東京進出はないと思われていた。ところが今回、初めて東京に出店することになった。しかもその確固たる思いは店名に表れている。自らの原点である「松戸」そして名前「富田」、そこに加わるのが「麺絆」。富田氏の「心の師」であり、ラーメンの神様であり、つけ麺の産みの親、山岸一雄氏が生前色紙などに書いていた「大事な言葉」である。

「とみ田」看板メニューの「濃厚つけめん」(松戸富田麺絆) 「とみ田」看板メニューの「濃厚つけめん」(松戸富田麺絆)

 その思いはメニューにも表れている。まずは2時間並んででも食べたい唯一無二の「とみ田」看板メニュー「濃厚つけめん」。濃厚豚骨魚介スープに自家製極太麺はまさに「とみ田」の代名詞だ。これが東京駅前で食べられるなんて誰が想像できたであろうか?

つけ麺の産みの親、山岸一雄さんの味を再現した「もりそば」(松戸富田麺絆) つけ麺の産みの親、山岸一雄さんの味を再現した「もりそば」(松戸富田麺絆)

 それだけでは終わらない。東京に出店するからには、という思いが店名と次のメニューに表れている。そう、「もりそば」と「中華そば」は山岸氏の味を受け継いで再現したものである。

「もりそば」に思わず唸った大崎さん 「もりそば」に思わず唸った大崎さん

 私も長い間、山岸氏時代の「東池袋大勝軒」を食べてきた。出てきた瞬間に「おぉ~っ!」と声が出たほど、懐かしいビジュアル。そして食べてみて「うわぁ~」と唸るほどの完成度だった。3本柱のメニューは盤石。何を食べるか、毎回迷うことになりそう。

■「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」

 味噌ラーメンといえばいくつかのご当地ラーメンを思い浮かべるであろう。しかし東京発祥の味噌ラーメンがあることを忘れてはならない。それが味噌の伝道師「ど・みそ」である。全国各地のラーメンイベントに出店しても、大行列をなし、多くの人に「東京スタイル」の存在をアピールしてきた。

東京発祥の味噌ラーメンが堪能できる「特みそこってり」(東京スタイルみそラーメン ど・みそ) 東京発祥の味噌ラーメンが堪能できる「特みそこってり」(東京スタイルみそラーメン ど・みそ)

 その特徴は江戸甘味噌を中心に五種類の赤味噌をブレンド。これが命の味噌ダレになる。スープは豚骨鶏ガラなどの動物系スープと魚介や昆布や椎茸を煮出した和風出汁をブレンドしたダブルスープ。そこに厳選された背脂が加わり、濃厚でパンチのある味わいになる。それらのスープに負けない力強さを持つのが老舗製麺所とがっちり組んで作り上げた特注麺。タピオカを練り込み、もちもち感を出しながら強いコシと独特の食感を持った平打ちちぢれ麺が絶妙に合う。麺とスープ、トッピングが三位一体となってバランス良くミックスされるとそこに「東京スタイル」が出来上がる。

「特みそこってり」に舌鼓を打つ大崎さん 「特みそこってり」に舌鼓を打つ大崎さん

 基本メニューは「味噌」のみ。しかも今回は系列店限定で出していて好評の「白味噌」や「みそまぜそば」もメニューに加わった。京橋の本店では「特みそこってり」一択だったがこれは嬉しい悲鳴。初めての人には「特みそこってり」がオススメだが、本店や支店で何度も食べている人には選択の幅が拡がったというのは朗報だ。このために「KITTE」に来る甲斐がある。

■「四川担担麺 阿吽(あうん)」

 今や、全国のあちこちで「担担麺」ブームが巻き起こっている。都内でその先鞭をつけたのが湯島に登場した「阿吽」だ。担担麺のみならず、汁なし担担麺(ここでは「つゆ無し」と呼ぶ)の旨さも広めていった。また「辛さ」と「シビれ」を段階式で選べるのも、2007年の開業当時は新しかった。0~5段階から選択可能で、標準的なオススメはどちらも「2」。辛さ(唐辛子系)に強い人、シビレ(中国山椒系)が好きな人はそれぞれ度合いを上げて注文できる。「5辛」経験者のみオプションで「6辛」も用意されている。

「白胡麻担担麺」(四川担担麺 阿吽) 「白胡麻担担麺」(四川担担麺 阿吽)

 「阿吽」が高く評価されているのはオリジナルの自家製辣油と本場四川から取り寄せている花椒(ホアジャオ)の効果的な使い方である。辣油は9種類の生薬と香辛料からじっくりと時間をかけて旨味を取り出したもの。花椒は香りの強いところだけを使用し、特に風味を大切にして毎日挽いている。甜麺醤(テンメンジャン)や豆板醤も手作りにこだわっている。

辛さとシビれが選べるのも魅力の「つゆ無し担担麺」(四川担担麺 阿吽) 辛さとシビれが選べるのも魅力の「つゆ無し担担麺」(四川担担麺 阿吽)

 また、汁なしでは細麺を使う店が少なくないがこちらの「つゆ無し」ではもちもちの太麺を使っており、粗挽きひき肉や小エビなどとの組み合わせも他店にない個性を出している。時代を作ってきた「阿吽」の担担麺。その味に大いにシビれてほしい。

■「博多屋台ラーメン 一幸舎(いっこうしゃ)」

 豚骨ラーメンの聖地であり、ラーメン激戦区の博多から東京・丸の内の「ラーメン激戦区 東京・丸の内」へ進出。今回の出店の中では唯一首都圏以外からの参戦だ。いまや福岡のみならず世界中に「豚骨ラーメン」を広めている「博多一幸舎」。いくつかのブランドを持っているが福岡空港や博多一番街に出店している「博多屋台 一幸舎」でお目見えした。多くの人に愛されてきた屋台系博多ラーメンを進化させ、濃厚かつクリーミーでコクのある一杯に仕上がっている。

屋台スタイルの「一幸舎」店内で食に没頭していた大崎さん 屋台スタイルの「一幸舎」店内で食に没頭していた大崎さん

 店内にはまさに屋台スタイルの席もあり、博多にいるかのような気分で味わえるのも楽しい。卓上には博多ラーメンの楽しさでもある紅生姜や胡麻などの薬味が用意され、自分なりのカスタマイズが可能。

替え玉必至!?の「味玉ラーメン」(博多屋台ラーメン 一幸舎) 替え玉必至!?の「味玉ラーメン」(博多屋台ラーメン 一幸舎)

 博多ラーメンといえば低加水の細麺が一般的に知られているが、昔から愛されている博多の店では細平打ち麺を使っているところもある。今回は特別に作り上げた自家製細平打ち麺を使用している。もちろん博多ラーメンといえば「替え玉」も必須だろう。辛いものが好きな人には「辛豚ラーメン」がオススメ。思った以上に辛くて最初は驚いたが、次第に辛味と豚骨の甘味が良い具合にコラボして辛党にはたまらない旨辛具合になっていく。また、博多で流行り始めた「チャーシューおにぎり」もいち早く登場しているのにも注目だ。「替え玉」するか「チャーシューおにぎり」にするか、あるいは両方か。楽しみは尽きない。

 都内主要駅で見ると、東京駅丸の内側は比較的ラーメン店が少なかった。そこに一気に5店舗の施設ができたのだからラーメン好きにはたまらない。さらには「KITTE」限定メニューを提供するなど、「ここに行く」べき理由がたくさんある。「ラーメン激戦区 東京・丸の内」の登場により丸の内は本当のラーメン「激戦区」になる!

(提供:鉄道会館)