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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】伝統製法で味守り、近代化で新味に挑戦! 山口県「獺祭」 (1/2ページ)

★山口県獺祭(下)

 いま日本で最も売れている地酒、獺祭(だっさい)。製造する旭酒造は、山口県岩国市の山間部にあり、30年前は、杜氏も逃げ出す赤字の弱小蔵だった。

 それを建て直したのは、現在の会長である桜井博志さんだ。2年前には、バトンを長男の桜井一宏社長に渡しつつ、今も伴走を続ける。2人は週2回行われる、タンクごとのテイスティングを欠かさず、少しでも出来が悪いとダメ出しをして、製品にしない。だから品質には絶対の自信を持っている。

 近頃、「獺祭は5万石製造できる近代工場を建ててから、全部機械でつくっている」という話が出回っているが、蔵を見に行けば、それが都市伝説だということがよくわかる。

 獺祭の仕込みタンクは小さい。1本3000リットルだ。これは小さな蔵の通常タンクだと言えばわかりやすいだろう。それがなんと300本ある。1本を10倍の大きさのタンクにして、30本にすれば作業は格段に楽だろう。実際、大手ナショナルブランドの蔵では、巨大なタンクで仕込んでいる。

 だが獺祭は、小さな蔵だった頃と同じ酒づくりを変えない。それは麹づくりにも表れている。麹室はたしかに大きく、体育館のようだが、そこにズラリと並ぶのは、昔の麹室に置いていた麹の箱だ。それをちゃんと蔵人たちが、人海戦術で手入れしている。

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