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【おやじ酒場】名物「玉子焼」はふわ~っと甘い JR京浜東北線など、王子駅・大衆割烹「半平」

 王子といえば、落語「花見の仇討ち」の舞台といわれる飛鳥山公園や、王子稲荷に参拝帰りの男が若い娘に化けた狐を化かす「王子の狐」の噺を思い浮かべる呑兵衛。化けた美女と料理屋に上がり込んで差しつ差されつを目に浮かべながら一杯やるのもオツなものだ。

 JR北口改札を出て目の前のバスロータリーを挟んだ正面。看板には大衆割烹(かっぽう)とある。白い暖簾(のれん)をくぐって入ると、左側は4人掛けのテーブルが7卓。奥は厨房(ちゅうぼう)で右沿いにカウンター席。4人卓が4卓並ぶL字型の小上がりに囲まれて大小のテーブル。奥のテーブル席を酒席に決め込んだ。2階には100人近く入れる座敷もある。

 まずは「満点ビールセット」(900円)。「生ビール」(中590円)と枝豆、唐揚げなどおつまみ3品付きはお得。ジョッキをグイ~ッ、お天道様が高い時間から飲むビールのナントうまいこと。朝11時から通し営業なんてウレシイね。

 昭和22年創業の“王子の顔”。店主の藤原紀男さんは三代目。初代の父、半平(はんぺい)さんが戦後、この地で創業。多くの人の胃袋をやさしく満たし、呑兵衛の飲み心をくすぐってきた。「集団就職で先生とココで泣き別れした人たちが、ウチの味が忘れられないと、今でも寄ってくださっていますよ」

 「ホッピー」(白・黒セット420円)に差し替えて、落語「王子の狐」でお土産に包んだ名物「玉子焼」(1人前420円)。ふわ~っとした食感、上品な甘み。添えられた紅葉おろしをつけると甘さも引き立つ。大晦日の行事「王子狐の行列」にちなんだ「キツネ焼」(480円)も。焼いた栃尾油揚げを天つゆでいただきます。

 四代目の息子、一郎さんが厨房全体を任され、新メニューも考案。イチ押しは「辛苦無(からくない)」(5本400円)。甘辛タレ絡まれた手羽中の唐揚げをガブリ。ピリリとスパイシーだがコクのある甘み。沖縄産黒砂糖の隠し味が決め手だ。

 豚を金串に鰻串のくりから焼きのように巻いた「豚太刀(ぶたち)」(431円)も一郎さんのオリジナル。ピリ辛の味噌ダレと合わせて香ばしい。三代目の昭和の味と、四代目の平成の味を令和で味わう幸せ。女将さん、もう一杯!

  ほろ酔い予算2500円~

 ■東京都北区王子1の9の2。03・3911・4476。営業11~23。1月1日、12月31日休。

 ■高山和久 昭和の時代濃い酒場、うじうじと長っ尻できる居酒屋をこよなく愛す。お笑い系芸人を取材した後、今宵も東西南北の街でチョイと一杯、はしご酒~。

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